2月11日に行われた「未来へ続く道 2018」イベントでは、記録映画『ホピの予言」製作ノートのごく一部をみなさんにご紹介しました。
これは、宮田雪が書き記し、1982年11月1日発行で、当時隔月誌だった『80年代』No.18に寄稿した文章です。
ここで第1章の一部をあらためて。全体は5,000~6,000字。
当時、宮田37歳。
ちなみに、No.18のタイトルは「文明の光と影」
表紙は、漫画家真崎 守氏。
1978年に始まり、私たちが今、その三度目の取材に旅立とうとしている製作中の記録映画「ホピの予言ーアメリカインディアンと核開発(仮題)」は、ホピの予言を通して、聖地に加えられてきた破壊行為の歴史と今日の実相を記録し、伝えようとするものである。
(略)
だが、その本質は決して彼らだけのものではない。彼らの大地を破壊し生存を脅かしている病根は、同時に我々の生存をも脅かしているのである。映画はその普遍性を訴えることを意図して製作される。
(略)
文明を覆いつくす物質文明の氾濫は、我々の欲望や驕慢心を果てしなく増長させ、その結果、戦争を引き起こし、遂には地球そのものを破壊してあまりある核兵器や原発の増産にまで高めてしまった。
(略)
もし、我々がこの文明の破壊的な危機から免れたいとするなら、我々は現在の物質と消費文明に代表される文明の価値観を根本的に問い直し、自身の精神的変革の道を模索しなければならないだろう。
アメリカ先住民、インディアン、とりわけホピとフォーコーナーズ地域に400年にわたって続いてきたヨーロッパ思考の植民地支配の悲劇は、我々に文明の本質を問い直し、その精神的変革の道のなんたるかを示している唯一の普遍的で根源的な例証だと、私には思える。
彼らの大地こそ、核兵器産業や原子力開発の出発点であり、その被害に生存への道を絶たれながらなお、文明再生への救済の道をわれわれに示そうとするホピの予言と、その彼らの生き方(ウェイ・オブ・ライフ)に、われわれは多くのものを学ぶことが出来ると思うのである。
映画がそれへの理解を深めていくための素材のひとつとなれば、幸いという他はない。
大地を傷つけることは、自分自身を傷つけること。
そして、私たちに続く子どもたちを傷つけること。
その感性、その感覚こそを、私たち、取り戻していきたいですね。